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登山をしていると、一泊以上をフィールドで過ごすような行程を計画することことも少なくありません。目指す山頂が遠い場合や、ゆっくりと山を楽しみながら登りたい場合など。考えたくはありませんが、急な体調不良で当日の下山が困難になるなんてこともあるかも知れません。
山中の夜を快適に過ごすだけならば、山小屋に泊まるのが最適。美味しいご飯や暖かい布団は、登山で疲れた身体と心を十分に癒やしてくれることでしょう。もうひとつの選択肢としてはは、テント泊があります。担いで登る荷物が重くなりますが、ひとり気兼ねなく山を楽しみたい場合など、少し不便であっても山小屋よりこちらを選ぶというハイカーは少なくないはず。もし登山中に何かあったとしても、テントがあればどこでも雨風を凌げる空間を確保できるといった安心感もあります。このような理由から、登山を趣味にしているひとであればひとつはテントを所有していることでしょう。
登山に用いられるテントは、材料、デザイン、設計思想など、各メーカーがブランドのアイデンティティを詰め込んで製作しており、値段も決して安いものではありません。ただ、それ故購入者に選ぶ楽しみや所有する満足感があるのも事実。筆者も、新しく購入するソロテントを選ぶにあたり、自分の直観と各メーカHPの商品説明に、毎晩頭を悩ませました。
そんな数ある魅力的なテントの中から、今回は筆者が新たに購入した。Six Moon Designsの名作ワンポールテント『Lunar Solo』をレビュー。試し張りで思ったことや、実際にフィールドでの使用から感じたことなど、『Lunar Solo』の魅力とその使用感をご紹介します。
Six Moon Designsって?
先ずは、Six Moon Designsについて少々
どんなメーカー?
ロン・モークによってSix Moon Designsが創設されたのは、2002年。アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドの小さなガレージでのことでした。1970年代、この頃すでにロングトレイルにおけるミニマリズムの重要性を感じていたというロン・モーク。
「より軽く、より快適に」
Six Moon Designsからは、そんな彼の思いを形にした魅力的な商品が多く発売されています。

ちなみに、『Six Moon』という名前は、ロングトレイル『パシフィッククレストトレイル(PCT)』を歩き切るのに要する約6ヶ月の期間にの由来します。
Six Moon Designsのウルトラライトテント



Shelters | Lunar Solo | Lunar Duo | Lunar Orbiter |
Price | $260.00 | $395.00 | $425.00 |
Weight | 26 oz | 740 g | 45 oz | 1.27 kg | 2 lb 12 oz | 1255 g |
Pack Size | 11″ X 4.5″ | 28 cm x 11 cm | 15″ x 6″ | 38 cm x 15 cm | Shelter 15.5’’ | 40 cm Poles 15.5″ | 40 cm |
Materials | Canopy/ 20D Silicone Coated Polyester Floor/ 40D Silicone Coated Polyester | Canopy/ 30D Silicone Coated Polyester Floor/ 30D Silicone Coated Polyester Netting/ 20D No-See-Um | Canopy/ 20D Silicone Coated Polyester Bathtub/ 40D Silicone Coated Polyester Mesh/ 20D No-See-Um Mesh |
Six Moon Designsの名作 “Lunar Solo”について
さて、Six Moon Designsを代表するプロダクトのひとつが、今回紹介する3シーズンテントの『Lunar Solo』。重量は、僅か700g。六角形の張姿が美しいシングルウォールのワンポールテントで、米アウトドア誌のbackpacker にて Editer’s Choiceを受賞した名作です。
ここでは『Lunar Solo』の魅力を伝えるべく、その特徴についてご紹介します。
魅力その① どの角度から見ても独創的かつ魅力的なデザイン



最大の特徴は、一般的な登山用テントとは一線を画すその張り姿。『Lunar Solo』の張り姿は、まるで山頂を切り取ったようなピラミッド型。テント場でも、目立つこと間違いなし。この格好良さが『Lunar Solo』購入を決意した最大の理由という所有者も多いはず。因みに、フロントを閉め切ったときの張り姿を上から見ると、六角形になっています。この形であることで、耐風性も幾分高まっています。
魅力その② 軽量コンパクトでポータビリティに優れる

ストック(テントポール)、フットプリント、本体+ペグ。一式を纏めてもこのサイズ。テント本体を収納するスタッフサックを最大限に小さくすれば、ダウンジャケットと然程変わらないパッキングサイズまで小さくなります。因みに、『Lunar Solo』には純正のスタッフサックが付属していますが、少しサイズが大きいため、筆者はDCFスタッフサックに変更しています。
魅力その③ 設営撤収が早い・簡単・楽
構造がシンプルなテント。それ故、設営に掛かる時間もかなり短く、テントを建てるだけならば1分を切ることも可能。


先ずはフットプリントを敷き、テントを広げ、数カ所をペグダウン。ペグダウンの順番など、ちょっとしたコツがあったりもしますが、慣れればあっという間。


ストック(テントポール)を伸ばし、テントを建てます。設置箇所には記事の補強がされていたり、ゴム紐が取り付けてあったりします。


テントが建てば、フロントパネルのペグダウンをして、全体の張り具合を調整して完成。フロントパネルは庇の役目も果たし、雨の際は靴置き場や調理場にもなります。
魅力その④ テント内に確保できる空間が広い


因みに、フロントパネルは両開き。日差しや風向きによって快適なスタイルを選択できます。『Lunar Solo』の室内は、兎に角広々。頑張ればふたりでの利用も可能な広さ。これで荷物に押されながら眠ることもなくなりそう。

なお、『Lunar Solo』の詳しい設営の仕方についてはYouTubeの動画が分かり易いです。参考までに。
このように、ULハイカーの理想を具現化した『Lunar Solo』は、まさにブランドイメージを象徴する製品、その代表とも言えるプロダクトなのです。
四泊五日の北アルプス登山で使用してみた
真新しいテントを北アルプスの山の麓で設営する。素敵です。
4泊5日で敢行した北アルプス縦走。そこで実際に『Lunar Solo』を使用してきました。ここでは、実際の使用で気づいた新たな魅力、或いは正直な使用感をお伝えいたします。購入を検討している方々の参考になればと思います。
実際の使用感① ワンポールテントの強度
ワンポールテントの強度についてですが、普通に使用する分にはなんら問題はないように思えます。ただ、バランスといった点で、一般的なポールが四カ所地面に接する形状のテントに劣るのは事実。風に対しても、その他何らかの外力に対しても。ですから、6本のペグと1本のポールでしっかりと設営することが、先ずは大事。ペグの代わりに石を使う機会は多々ありますが、それは間違いなくワンポールテントの強度を低下させるでしょう。

実際の使用感② 居住時の快適性(騒音・風通し・雨天時の様子など)
使用してみての快適性については、何よりもテント内が広く使えるというのが利点。そして、インナー上部がメッシュであり、且つ設営時にはサイドウォールが地面から離れる構造ですから、風通しも良いです。暑い昼間などは、テント内が密閉される形状のテントよりも随分快適に過ごせそう。ただ、雨天時の地面からの跳ね返りは、確かに気になります。びしょ濡れになるほどではないですが、テントの端の荷物を中央に寄せるなど、対策は講じることになります。また、騒音に関しては個人差があるでしょうし、不安であれば耳栓の所持がおすすめ。

実際の使用感③ フロア有りのシングルウォール、湿気は?
結露は、正直に言って気になります。朝起きると、水滴が顔に落ちてくるほど湿気が籠もります。使用には影響がないので、ここはタオルで拭き上げるなど、対策をしながら付き合っていくしかないでしょう。

実際の使用感④ 素材のシルポリ、汚れは付きやすい?
地面が湿っていれば、汚れは当然付きますが、気になるような染みになることは希でしょう。また、シルポリは『洗える』ことから、汚れには強いと言えるのかも。
実際の使用感⑤ その他気になったこと・気づいたこと
バスタブの立ち上げが綺麗にいかない、サイドウォールを閉じた時にいずれかの面がたわむといったことがあり、設営時に少しだけ気を遣ってしまいます。また、一般的な山岳用テントよりも設置面積を必要とするので、狭いサイトでの設営には向かないかも。ただ、やはり格好良いですから。所有欲はこれ以上ないほど満たされます。

まとめ
今回は、Six Moon Designsの名作 “Lunar Solo”について紹介しました。テントというギアはそれほど買い換える機会が多いものではないですから、やはりこだわりを持って選びたいですよね。今回の記事が、皆様のテント選びの参考になれば幸いです。

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