
Introduction
北アルプス燕岳の中腹にある中房温泉から合戦尾根を登り、燕岳から槍ヶ岳まで続く13kmの稜線を歩き、槍沢と梓川に沿って上高地まで下山する。総歩行距離が36kmを超えるこのアルペンルートは『表銀座縦走ルート』と呼ばれ、多くの登山者にとっての憧れ。北アルプス三大急登、コマクサの群生と奇岩群、登山者を試す岩稜と日本5位の高峰、そして日本屈指の山岳景勝地など、見どころを上げれば切りがありません。
想像してください——
『北アルプス三大急登』を制し、約1,300mの標高差を登リ切った先に待つ憧れの稜線。
長く山肌を覆っていた残雪が消え、再び冬を迎えるまでの短い夏に咲き乱れる、コマクサに代表される高山植物たち。雷鳥親子の鳴声が、どこからか聞こえてくるかも知れません。燕岳の嫋やかな尾根を背に稜線の先を望めば、その半ばには広い山頂の大天井岳、そして遥か遠くには3,000m峰の槍ヶ岳がその鋭い頂をもって登山者の到着を待ち構えます。東鎌尾根に足を踏み入れた登山者は、その懐の広さにただ閉口し、標高日本第5位の尖峰を見上げるのみかもしれません。
そして下山する先は、穂高連峰が見下ろす日本屈指の山岳景勝地。日本のアルピニズム発祥の地・上高地が、今回の縦走路のゴールです。細長い盆地には水量豊富な梓川が流れ、そこは多くの観光客で賑わっています。そして、最後には隆盛を極めた草花に彩られた穂高連峰の山肌を眺めながら、次回の登山を思い描くのです。
——どうです? 出発前から『表銀座縦走ルート』の魅力が伝わったでしょうか?
それでは『表銀座縦走ルート』偏、スタートです。ぜひ、最後までご覧下さい。
Location

Article
今回の装備
ベストメンバー。パッキングを考えている時間は、至福の境地でした♪
今回の山行に連れて行ったギアたちを紹介します。個人輸入品などもありますが、装備軽量化の参考になれば幸いです。
Backpack(422g)

- BUMMER SPECTRA/Trail Bum……380g(背面パット含まず)
- Pack Liner/山と道……42g
Tent(957g)


- Lunar Solo/Six Moon Designs……710g(本体690g + スタッフサック20g)
- 5section Carbon Pole 125/Six Moon Designs……61g
- SMD Footprint Tyvek S/Six Moon Designs……128g
- NEW Ultralight Nail Peg × 6本/FREELIGHT……54g
- Ultralight Peg Case/FREELIGHT……4g
Sleeping Gear(293g)


- Minimalist Pad/山と道……53g
- MAGIC 100 Zip/CUMULUS……240g
Cooker(175g)

- Hillbilly Pot 350/JINDAIJI MOUNTAIN WORKS……62g
- Hillbilly Band/JINDAIJI MOUNTAIN WORKS……12g
- Titanium Stove/Esbit……13g
- Ti9G Windshield/EVERNEW……9g
- Titanium Spoon XL/Nordisk……16g
- Schmidt sack/MOYA MAUNTAIN LODGE……6g
- bic lighter regular/BIC Japan……14g
- solid fuel × 8/Esbit……40g
- DCF STUFF SACK(M)/TAKE A HIKE……2g
- Flame-retardant sheet/Unbranded……1g
Insulation&Rain wear(360g)


- EXライトダウンジャケット/mont-bell……145g
- UL All-weather Hoody/山と道……110g
- UL All-weather Pants/山と道……99g
- DCF Staffsack/Unbranded……6g
Clothing(498g)

- UL Shirt/山と道……107g
- RAW L.W. HOODY/STATIC……285g
- ドライレイヤーベーシックボクサー/Finetrack……31g
- ハイククラシック LC セカンドカット アンクル/Smartwool……53g
- Packing Case/旅のそら……22g
Emergency kit,Toiletry&Battery etc.(607g)

- Emergency kit/one’s own……59g
- Toiletry①/one’s own……130g
- Toiletry②/one’s own……143g
- Battery,Headlamp,Map/one’s own……275g
Trail food(1,012g)

- RISOTTa リゾッタ × 5個/mont-bell……475g
- RISOTTa サラダチキン × 5個/mont-bell……200g
- おいエナ × 2個/美味しいエナジードリンク研究所……300g
- Snack Sack/Gossamer Gear……37g
ここまででウェイトは4,324g。
その他(4,493g)
- 水……2,500g
- カメラ機材一式……1,570g
- 眼鏡&ケース……80g
- ヘルメット&グローブ……311g
- ガベッジバッグ……32g
——最後に、上記を加えたPack Weightは4,324g+4,493g=8,817g。おおよそ8.8kg‼ 実際には、ボトルや細々したものを追加して、それでも9kg弱くらいでしょうか。
水・食料・燃料・カメラ機材一式を除いたBase Weightは、3.7kgという結果。
縦走装備と考えると、心強いような、心細いような……(^_^;)。山小屋利用が前提ではあるのですが、Consumables Weightに食料などを追加してもいいのかも💦

という訳で、行動食を690g分追加。バックパックの重量は、合計で9,507gとなりました。
今回の軽量化は費やした金額に見合った結果。厳選したギアたちを信じて、いざ表銀座縦走ルートへ‼
1日目・北ア三大急登の合戦尾根を登り燕岳へ!
2026年夏の山旅、スタートです。
北アルプスへの移動は毎日あるぺん号で!
毎日あるぺん号は、毎日新聞社が運行する登山バスツアー。中房温泉行のバスは、夜に竹橋の毎日新聞東京本社前を出発し、翌朝に中房温泉に到着します。
登山客で賑わう中房温泉に到着!

『表銀座縦走ルート』の起点は、燕岳中腹にある中房温泉。中房温泉では、温泉入浴はもちろん、地熱蒸し体験、園地の天然記念物&登録文化財の見学などが出来ます。

7月末の中房温泉(標高1,460m)の気温は、朝晩15℃前後、日中20℃〜25℃くらい。当然平地よりも低く、朝晩は寒く感じることもありますが、登山には持って来いの好条件。この日も、まだ空が白み始めた時間にも関わらず、ツアー以外にも多くのハイカーで賑わっていました。
皆、北アルプス三大急登・合戦尾根を前に気合い充分!
合戦尾根は、燕山荘まで続く「北アルプス三大急登」のひとつ。三大急登の中では比較的整備されており、初心者でも体力があれば挑戦しやすい「入門編」とされる。
そんなハイカーたちを横目に、筆者も隅っこでいそいそと……
中房温泉(燕岳登山口)〜第一ベンチ

早々に準備を完了させ、いざ登山開始です。写真の通り、いきなりの急勾配。準備運動のつもりでゆっくりスタートしましょう。

みなさん、大きなバックパックを背負って急斜面を登って行きます。周囲の方々よりも二回りくらい若い筆者。密かに勇気を貰います。

登山開始から三十分とちょっと。休憩場所らしきベンチが見えてきました。

第一ベンチに到着です。CTよりも早い到着。ここは休憩なしで先を目指します。因みに第一ベンチのすぐ近くには水場があります。急斜面を下りますが、登山口で汲み忘れたひとはこちらを利用しましょう。
第一ベンチ〜第二ベンチ

早々に第一ベンチを後にし、引き続きハイカーの足を虐める急登に挑みます。それにしても、早朝の涼しさはだいぶ身体に優しい。

大きな石がゴロゴロしている箇所も。ただ、ここまでは綺麗に整備された登山道で歩きやすい。

途中、荷揚げ用リフトケーブルのやぐらがありました。合戦小屋の脇まで続いています。

そうこうしているうちに第二ベンチに到着。中房温泉をスタートしてから一時間ちょっとですが、ショートパンツは既に汗でびしょびしょ。バックパックを下ろして休憩します。朝方立ち寄ったサービスエリアで購入した『やまびこ』でエネルギー補給。

燕山荘まで、あと3.8km。良いペースでここまでやって来ました。
「合戦尾根って、それほどでもない?」
そんな考えが筆者の脳裏を過ります。でも、大変なのはまだまだこれからでした。
第二ベンチ〜第三ベンチ

第二ベンチを出発してすぐは比較的平坦な登山道。因みに、この辺りまで来ると標高は既に1,800mを超え、植生の垂直分布では亜高山帯に入ります。周囲は次第に針葉樹が目立つように。

気持ち良く歩ける場所は、次第に歩様が速くなってしまいます。

何と、登山道脇にギンリョウソウが。奥多摩では既に時期は過ぎてしまいましたが、まさかの合戦尾根での遭遇。ちょっと感動。

平坦区間が終わり、再び登りが目立ち始めた登山道。

「疲れたなぁ」
そんなことを考え出した頃に第三ベンチに到着。この頃になると、後ろからどんどんと後発のハイカーたちが登ってきます。皆さん、健脚でいらっしゃる。

燕山荘まで、あと2.8km。ゆっくりですが、着実に前進しています。
第三ベンチ〜富士見ベンチ

ここから先は、急登だけでなく荒れた登山道がハイカーの足を虐めます。合戦尾根も中盤に差し掛かり、疲れも出始める頃。頑張り時です。

目の前の光景に思わず尻込みをするハイカーも多かった場所。

登り始めの急登をゆうに超える苦難が、何度も襲いかかります。

動画で見た記憶がある階段。無心で登ります。

ここで漸く富士見ベンチに到着。漸く腰を下ろして休むことができます。

今更気が付きましたが、第三ベンチから400mしか進んでいません。驚きです。それだけ辛い道のりだったということなのでしょう。はぁ〜、お腹空いた。
富士見ベンチ〜合戦小屋

なかなか落ち着かない勾配に身体が辟易し始めます。この頃には、筆者の頭の中は合戦小屋のスイカのことばかり。

自分が挑戦している相手が『北アルプス三大急登』に数えられる合戦尾根であることを、今更ながら実感します。
「鎖とかあった方がいいんじゃ……」
一緒に登り始めた年配の方々を思い出させる場所も多かったです。

ふと気が付くと、周囲の木々の向こうが明るい。それだけ標高を上げてきたという証拠です。

可愛らしい看板です。

この辺りには大きな岩が目立ちました。身体を預けると、冷たくて気持ちがいいんですよね。

再び、可愛らしい看板。

漸く、やっとのことで合戦小屋に到着です。あ、スイカが麦わら帽子を被ってる。
合戦小屋で名物のスイカ・うどんに舌鼓

合戦小屋は、ご覧の通り大盛況。皆が足を止め、スイカや食事に舌鼓を打っていました。

合戦尾根にある『合戦』とは、坂上田村麻呂と魏石鬼八面大王の戦いを言うのだそう。

売店の壁には魅力的な料理が並びます。


スイカ、冷やし梅めかぶうどん、コーラでエネルギー補給。これがなかったら、無事燕山荘まで辿り着けたかどうか。美味しかったです。ごちそうさまでした。

さて、燕山荘まで頑張りますか。まだまだ長い道のりなんだ。
合戦小屋〜燕山荘

合戦小屋を出発し、延々と続く階段状の登山道を登ります。薄らと掛かる霧が疲れた身体を冷ましてくれます。

途中で見掛けた、ウサギギクと小さな蜂。

この辺りで、ハンズフリー通話をしているハイカーさんとすれ違い。一瞬、独り言を呟いているのかと思ってびっくり。傍目には分かりませんから。

合戦沢ノ頭に到着。追いついてこられた奥様方は皆元気。

標識の先が『燕山荘』から『燕岳』に。燕山荘へは、あと1.3kmくらい。

白砂の登山道。植物の垂直分布では、そろそろ高山帯。確かに、気が付けば周囲は高山草原と高山低木林。

コバイケイソウが咲き誇る斜面。近くを歩く奥様方も、撮影に大忙し。

時折、日射しが差し込むと焼けるような暑さを感じます。

大岩ですが、鎖があります。滑り落ちたら、怪我では済まなそう。

高山草原の植物を観察しながら進みます。

ふと見上げると、お洒落な建物が。あれ、燕山荘が近い。

テン場横の階段を登り終えると、皆バックパックを背負ったまま足を止め、景色に見入ります。

燕山荘前に人影はまばら。案外早い到着だったのかも。

ロビーには、それなりの人手がありました。さて、テン場の申し込みをしないと。

テン場の料金を払い、設営。日が出ている間は暑くて、とても中にいる気にはなりません。


燕山荘の周りの斜面にはテガタチドリ、トリカブト、ハクサンフウロ、ウラジロタデなどが咲いていました。そして稜線の白砂の上には沢山のコマクサが。さすがに高山植物の女王です。気品のある咲き姿。色とりどりの高山植物を眺めるだけでも、来たかいがありました。
燕山荘〜燕岳

燕山荘から望む燕岳。下界側半分が雲に覆われ、厳かな雰囲気。周囲が完全に雲に覆われる前に、北アルプスの女王に挨拶に向かいます。

白砂の斜面に咲き誇るコマクサの群生。

稜線を進んで行くと、有名な奇岩・イルカ岩。

シシウド。

チシマギキョウ 。

ゴゼンタチバナ。

慎ましく咲く花々に囲まれながら進むと、だいぶ山頂が近くに見えるように。

こちらも有名な奇岩・めがね岩。めがね岩デザインの手ぬぐい、格好良いです。買えば良かった。

白砂に足を取られながら、山頂付近までやって気ました。ここから、一気に山頂へ。

燕岳山頂に到着です。石の山頂標識には『2763』の文字。中房温泉の標高がおおよそ1,500m。今日一日で1,300m近い標高を獲得したことになります。頑張りました。

前方には北燕岳の山頂が見えています。ハイカーの姿も、小さく見えています。

後ろを振り返れば、燕山荘。そして、大天井岳へと続く稜線が一望できます。それにしても、美しい稜線です。
明日は、大天井岳を越えて西岳まで、9km以上を歩く予定。それと、夜中には天の川も撮影したい。そんなわけで、少し早いですが、燕山荘に戻ることにします。
夜中の天の川撮影

夜中に燕山荘前で撮影した天の川。当日は、肉眼でも天の川が見えるくらいに綺麗な星空。ただ風が強く、雲も多く流れていて、その合間を狙っての撮影でした。
人前に出せるような写真ではないのですが、記念に1枚だけ。それでは、また明日。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。関連記事はこちら!
登山にオススメのアイテムはこちら!
Recommended items for trekking
目印の乏しい山中でも進むべき方角を知ることができる『コンパス』。『紙地図』は山の全体像を把握するのにも便利。登山の際にはいつでも持ち歩きたいアイテムです!
















